フィリピンは100以上から一説には200近いとまで言われる民族からなる多民族国家です。主な民族だけでもタガログ族、セブアノ族、イロカノ族、ヒリガイノン族、ビコール族、ワライ族、パンパンガ族があり、それ以外にも数千人しかいないような少数民族もいます。
フィリピン人の大部分はマレー系の民族です。それ以外にもインド、中国、アラビア、スペインなどからの移民を祖先とする人々、また、彼らとの混血などもあり、フィリピンの多様な民族を構成しています。
タガログ族はフィリピンで最も人口が多い民族です。マニラ首都圏、中部ルソン地方のブラカン州、ヌエヴァ・エシハ州、カラバルソン地方のバタンガス州、カヴィテ州、ラグナ州、ケソン州、リサール州など、主にルソン島の南部に主に居住しています。
他地域への移住、特にマニラ首都圏での他地域からの移住、及びそれらに伴う混血の進展から正確な人口を求めることは困難ですが、2,000~2,500万人と推定されています。
タガログ族はタガログ語を母語としており、そのタガログ語はフィリピンの公用語であるフィリピン語のベースとなっています。
セブアノ族はフィリピンでタガログ族に次ぐ人口規模を持つ民族です。フィリピン中部ヴィサヤ地方のセブ島を中心に、隣接するネグロス島の南部、レイテ島西部、マスバテ島南部、さらにはミンダナオ島北部などに居住しています。
セブアノ語を話し、人口は1,300万人前後と推計されています。
イロカノ族はルソン島北西部の低地及び沿海地域に居住している民族です。イロコス地方の北イロコス州、南イロコス州、ラウニオン州とコルディリェラ行政地域のアブラ州に多く住んでいますが、移住などが進みルソン島の他の地域にも多く住んでいます。
イロカノ族はイロカノ語を母語としており、人口は800万人前後です。そのほとんどがキリスト教徒です。
ヒリガイノン族はフィリピン中部ヴィサヤ地方西部のパナイ島南部、ネグロス島西部、及び、マスバテ島の西部などに分布している民族で、人口は700人ほどと考えられています。
ヒリガイノン族の母語はヒリガイノン語ですが、イロンゴ語とも呼ばれます。ヒリガイノン語は上述した地域以外でも、パナイ島北部のアクラン州、アンティーケ州、カピス州でも話されています。
ヒリガイノン族が居住する地域には、フィリピンに留学する人が多いイロイロ市とバコロド市が含まれています。
ビコール族はルソン島東南部のビコール半島にある北カマリネス州、南カマリネス州、ソルソゴン州、アルバイ州に主に居住する民族です。ビコール語を話し、人口は600万人弱です。
ワライ族はフィリピン中部ヴィサヤ地方の東ヴィサヤ地方東部に居住する民族です。レイテ島の北東部、及び、サマル島、ビリラシ島に多く分布しています。ワライワライ語を母語とし、人口は300万人程度と推計されています。
パンパンガ族はタガログ族とともにフィリピン独立に大きな貢献をした民族です。フィリピン有数の米作地帯であるルソン島中部平原のパンパンガ州を中心に、バターン州、ブラカン州、ヌエヴァ・エシハ州、タルラック州に居住しています。彼らの母語はパンパンガ語であり、人口は約300万人です。
フィリピンにおいて中国人は古来から商業や貿易、流通などの分野で大きな影響力を持ってきました。経済分野における華僑の活躍であり、これはタイなど他の東南アジア諸国でも見られる現象です。
フィリピンの中国人は主に福建省から移住していました。特に19世紀中盤になると、アヘン戦争による鎖国政策の終焉、太平天国の乱による国情の不安定化が重なり、さらに多くの移民がフィリピンに移住するようになりました。
フィリピンに住む中国人及び中国にルーツを持つ人の数は、現在では100万人を超えると見られています。
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