みなさんはきっと「フィリピンは治安が悪い」と思っているでしょう。それはなぜですか? 恐らくそういった報道をよく見るからだと思います。では、相模原で無差別殺人が起こったから日本は危険な国ですか?
マスコミが伝えるのは、世の中にたくさんある事実の中のごく一部です。そして、視聴率や販売部数を稼げるショッキングな事実を選んで報道します。
マスコミの偏った報道だけに頼っていると真実は見えてきません。正しい事実を知るためにはマスコミ報道を鵜呑みにせず、数字とデータ、客観的事実を把握することが必要です。
以下、データに基づいてフィリピンの治安を解説していきます。
フィリピンの治安はどれくらいのレベルなのでしょうか? 国際連合(国連)の違法薬物や犯罪などに関する調査機関である「国連薬物犯罪事務所」が世界各国の犯罪についての統計調査を行っています。
フィリピンの他、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど、英語留学の対象となる国について、2014年度の犯罪統計を見てみましょう。以下の数値は殺人、強盗、強姦事件が人口10万人当り何件発生したかです。
これらのデータから、フィリピンの治安について次のことが分かります。
殺人を除けばフィリピンは欧米諸国より犯罪発生率は高くありません。しかし、日本より危険であることはデータから明らかです。
それでは、殺人事件で日本人が被害に遭う確率を見てみましょう。
フィリピンで殺人事件に遭う日本人は平均で1年に4人です。フィリピンには3ヶ月以上の長期滞在者が18,000人前後いますので、10万人当り22.2人ということになります。
これは先ほどの表で見たフィリピン国内の殺人発生率10万人あたり8.3人や、日本での発生率0.3人に比べると極端に高い数字です。
ですので、フィリピンにいる日本人は、フィリピンにいるフィリピン人や、日本にいる日本人に比べて、殺人被害に遭う確率が高いということになります。
では、日本人がフィリピンに留学した場合、殺人事件の被害に遭う可能性はあるのでしょうか? 在フィリピン日本国大使館によれば、殺害された日本人には次の表ような共通点があります。
犯罪に関係していたり、若いフィリピン人女性と結婚した中高年男性だったり、フィリピン人との間でトラブルがあったり、つまり、事件に巻き込まれて殺されたということです。
ですので、フィリピンで普通に留学生活を過ごしている限り、殺人被害に遭う可能性は極めて低いです。事実、フィリピンに留学した日本人が殺人被害に遭ったケースは過去にありません。
次に、留学する地域として考えた場合どこが危険なのかを見てみましょう。日本の外務省は、世界の国・地域ごとに下記のような4段階の危険情報を出しています。
フィリピンは全土がレベル1~3に指定されています。それを地図に落とし込んだのが次の図です。
この図を見て分かるのは、まず第一にフィリピン全土が不安定な状況にあるということです。過度に危険視する必要はありませんが、日本にいるときと同じような気持ちで留学生活を過ごすことはできません。
次に、南部のミンダナオ地方が危険だということです。全地域が危険度2以上になっており、特にミンダナオ西部はイスラム過激派と紛争がまだ完全には収束しておらず、危険度3に指定されています。
在フィリピン日本国大使館によれば、マニラ首都圏の犯罪率は、フィリピンの全国平均よりも高いとされています。次の表は、2008年にマニラ首都圏で起こった犯罪の件数が、フィリピン全土で起こった犯罪の何%に当たるかを示したものです。
例えば、「殺人 9.1%」というのは、フィリピン全土で起こった殺人事件のうち、9.1%がマニラ首都圏で起こったということです。
マニラ首都圏の人口はフィリピン全体の10%です。人口は10%しかいないのに、強盗や強姦が10%以上起こっているということは、マニラ首都圏がこれらの犯罪が起こりやすい地域であることを示しています。
しかし、実はマニラ首都圏は、フィリピンで日本人が最も多く住んでいる地域です。日本人がそれだけ生活しているわけですから、マニラ首都圏が特別に危険で留学に適していないというのは過剰反応です。
また、同じ東京でも歌舞伎町もあれば田園調布もあるのと同じで、マニラ全域が均等に危険なのではありません。マニラ全域の平均値がフィリピン全体の平均値よりも高いというだけであり、同じマニラの中でも危険なエリアもあれば安全なエリアもあります。そして、学校経営者にとって最も大切なことは自分と家族の身の安全ですので、確実に安全なエリアを選んで学校を作ります。
ただ、フィリピン全土の平均より治安が悪いことは事実ですので、日本にいる時と同じような気持ちで生活するのは慎むべきです。
旅行会社や一部留学エージェントのホームページなどを見ると、「セブは国際的な観光都市で政府も安全確保に力を入れているので治安については心配ない」といったことが書かれています。
本当なのでしょうか? セブは心配の必要がないくらい治安が良くて安全なのでしょうか? データを基に検証してみましょう。
次の表は、フィリピン国家警察が発表した2008年の統計数値を基に、セブ州における人口10万人あたりの凶悪犯罪の発生数を算出したものです。比較のため、「国連薬物犯罪事務所」が発表した、2008年のフィリピン全土、日本全国の犯罪発生率も併記しています。
確かに、セブ州の犯罪発生率はフィリピン全土よりも低い値になっています。しかし、それでも日本と比較すると、殺人と強盗で高い発生率であることに変わりはありません。
セブがフィリピンの中では比較的安全であることは確かです。ですが決して、日本と同様に安全というわけではありません。
以上で見てきたようにフィリピンの犯罪率は欧米諸国よりは低いものの、日本よりははるかに高いです。しかしだからと言って、費用の安さやマンツーマンレッスンの充実など、フィリピン留学の数多くのメリットを考えると、危険であることを理由にフィリピンへの留学をあきらめてしまうのも、やはりもったいない話です。
ここで注目したいのは、フィリピンには毎年10万人近い韓国人が留学に来ており、そしてその中には数万人の小学生が含まれていることです。
もしフィリピンが犯罪を避けることができないほど危険であるならば、何万人もの韓国人が留学に来るわけがありません。ましてや小学生など絶対に来ないでしょう。
我々日本人も危険を避ける対応策をしっかり身に付けることで、フィリピン留学のメリットを十分に享受すべきです。以下に具体的な対応策を見ていきます。
フィリピン留学中に危険を避ける上で最も大切なのは心構え、気持ちの持ち方です。技術ではなく精神論です。
日本にいる時と同じような行動をしていると高い確率で危険な目に遭います。留学中の行動には十分注意しましょう。
知らない人と接する際にも日本にいる時と同じような心構えでいることは許されません。
特に海外旅行経験者の中には上記を読んで、過剰反応だ、そこまで心配する必要はないと思う人がいるかもしれません。そこであえて言いますが、高をくくるべきではありません。
2016年7月にバングラデシュのダッカで人質テロ事件が起こり、日本人7人が犠牲という痛ましい結果となりました。卑劣なテロ行為であり罪のない人々を殺害した実行犯に全面的に非があることは言うまでもありません。
ですが実は、途上国などで海外生活が長い在外邦人の一部から次のような指摘も出ていました。「外国人が集まるエリアになぜ日没後にいたのか。お気の毒ではあるが自業自得と言わざるをえない。」
外国人エリアは犯罪者やテロリストの標的になりやすいです。また、日中に比べて日没後は犯罪被害に遭う確率が急上昇します。外国人エリアに夜間に身を置くことは自らの命を危険にさらす行為であることは途上国では常識です。
この事件の被害者の中には海外生活や海外渡航の経験が豊富な方が何名か含まれていました。危険であることは当然知っていたはずなのに、なぜ危険を犯したのか。気の緩み、まさか自分がという過信、それが命を失うという結果につながってしまったのです。
たかだか世界一周を1回か2回した程度で、自分は海外に慣れているなどとうぬぼれてはいけません。本当に慣れている人は、自分が今生きているのは今日まで運が良かったからだけで、明日は命を失うかもしれないということを知っています。
途上国で安全に過ごしたいならば、想定できるリスクはすべて避けるべきです。高をくくって気を抜くとリスクが現実になります。他の人と同程度にあなたも運が良い保証はどこにもありません。安全に留学を楽しんで無事に日本に帰るため、フィリピンでは高をくくらず常に警戒心を持って過ごしてください。
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