騒音地獄のマニラで暮らす現地日本人がBOSE QC20を使ってみた

BOSE QuietComfort20 海外生活

はじめに

BOSE QuietComfort20

ボーズのノイズキャンセリングイヤホン「BOSE QuietComfort20」(以下、QC20)。周囲の雑音を排除するノイズキャンセリング機能で有名なインナーイヤー型の高音質イヤホンです。

で、いきなりですが、このブログにグーグル検索などを経由してやってこられた方のほとんどはQC20がどんな商品であるか一通りの情報は持ってらっしゃると思います。
ガジェット系サイトの商品説明をいくつか見てスペック等は理解している。カカクコムのレビューやクチコミ、Amazonのカスタマーレビューも一通りすべて読んだ。QC20の大筋の特長や長所・短所も把握している。
それなのになぜまだググっているのか?

それは個別の事例が欲しいからではないでしょうか?

QC20のノイズキャンセリング機能が一般論としてスゴイのは分かった。でも、自分が直面している騒音は具体的にはコレで、一般論ではなく具体論としてコノ音が消えるのか知りたい。
飛行機の機内の音が消えるとか、電車の車内が静寂になるとかはこっちに置いといて、うちの家の近所の道路工事現場のアスファルトに穴を開けるガガガガガガッってあの音は消えるのか?

QC20が高性能であることは分かったけど、自分を悩ませているアノ音が消えるのかが分からない。そこが心配で購入に踏み切れていないのでは?

BOSE QuietComfort20

僕自身もそうでした。ノイキャンの機能としてはQC20がベストだというのはネットで調べがつきました。買うならばこれ以外に選択肢はないという結論には至っていました。
でも税込32,400円です。安い買い物ではありません。果たしてQC20を買えば僕が直面しているあんな音やこんな音は本当に消えてくれるのか? 総論ではなく各論としてどの音は消えてどの音は消えないのか?

それがどうしても分からなかったので僕は買いませんでした。というか待ちました。
そして今回所要で日本に行く機会ができたので、BOSEのショップに行って実機を触って、お店の方に具体的な音を一つ一つ説明し、それらがどの程度消えるかすべてについて答えてもらい、ようやく納得して購入しました。そして結果として大満足しています。

ただ近所にBOSEのショップがないとか、行く時間がどうしても取れないという方もいらっしゃると思います。(だからググってるわけでしょうし。)
そういう方のために以下に個々の音について実際どうなのか、実機をすでにほぼ毎日使用中の実体験からご紹介したいと思います。

1.前提条件

建設現場

人によって騒音に対する感覚などは変わってきます。その人がどういう環境で暮らしているかも影響してきます。どういう人がどういう環境でQC20を使っているのか、QC20に何を求めてそれが期待値のどの程度満たされたのか。それによって書かれるレビューの意味合いも違ってきますよね。
ということで、そのあたりを先に説明します。
 

1)普通の日本人には想像がつかない騒音地獄です (ToT)
そもそもフィリピンのマニラって時点でアウトですが。笑) 住んでいるのはマンションのけっこうな高層階ですが、以下の音すべてクリアに聞こえてきます。
・自宅マンションの真横に高架鉄道。途上国なので電車の騒音対策などは当然一切なし。電車がやってくるたびに響き渡る走行音。JRのガード下状態。
・高架鉄道の下は幹線道路で、マフラー改造しまくりジプニーの大爆音。タクシーや一般車は付いてるなら使わな損とばかりにクラクション鳴らし放題
・自宅から半径300m以内で新築マンション5棟が建設中。コンクリートを削ったり、サッシの枠を切ったり、甲高い工作音が延々と。
・毎年のように定期的に行われる排水管等の掘り起こしと埋設。そのたびに重機でアスファルトを引っ剥がす。
・近所には複数の大学があり、学期末・学期始め、学校の記念日などにはイベントと称して夕方から深夜まで屋外ライブ
・ほぼ毎週、マンションのメンテナンスで廊下の床のクリーニング。これが機械仕掛け。
・隣の部屋のおばちゃんの声がデカイ。(いや、シャレにならないくらい)

2)完璧な静寂なんて求めません
無理っすから。音ゼロまでは求めません。

3)でも音にはけっこう神経質
飛行機の中で声を出して絵本を読んでる4歳児にイラッとする心の狭いやつです。

4)音楽は一切聞かない
集中力がないので音楽を聞きながら事務作業とか無理。
 

◆つまりこういうことです。

・とんでもない騒音環境に住んでいて
・もともと音に神経質な人が
・無音まではいかないけど9割方の静寂を求めてて
・それで音楽は聞かずにQC20のノイズキャンセリング機能だけを使う

以下の記事、これに近い方の参考になります。(いねーよ!笑)
 

なお、どれくらい音が消えたか基準として%で表現していきます。
100%:ほぼパーフェクトに消えた。本来ならば99%とか書くのでしょうが、細かいエクスキューズの部分は無視で基本的に聞こえなくなった。
90%:耳を澄ませば聞こえる。状況によって聞こえる。でも、今までの騒音地獄に比べれば天国パラダイス。
70%:ちゃんと聞こえる。でも、音量は激的に落ちている。
 

ではさっそく、個別の音ごとに見て行きましょう~

2.飛行機のエンジン音:70%

Philippines Airlines

飛行機に乗るところから使ったので、せっかくですのでここからスタート。
機材はエアバスA320。座席は主翼取付部のチョイ後ろ。つまり、エンジンの真横です。PALのグランドスタッフが絶好の実験場所を提供してくれました。笑

定刻通りにテイクオフしたフィリピン航空機。機内にエンジン音が響き渡ります。水平飛行に入ってQC20を耳に装着。さっそく使ってみます。さてどうなったか?

QC20のノイズキャンセリング機能をオンにしても静寂にはなりません。エンジン音はしっかり聞こえます
では何が変わったかというと、360度前後左右上下包み込まれるような逃げ場のないサラウンド大音響状態から、大きめの音が1本スコーンと耳に入ってくる状態になりました。
上手い表現が思いつかないのですが、武道館で2万人が一斉に1・2・3・ダーッ!っと雄叫びを上げている中でQC20のノイキャンをオンにすると、真横にいる猪木さんのダーッ!だけが聞こえるって感じです。(分かります?)

騒音ゼロにはなりません。それどころかエンジン音はバッチリ聞こえます。でも、全身を包まれる轟音ではなく、大きな音が一つ聞こえるって感じです。
ノイキャンをオンにした瞬間、「すげっ!」って感じました。それくらいの騒音削減効果はあります。そしてマニラまで3時間ちょっと、ほぼ熟睡できました。ゼロにはなりませんがスーパー上出来だと思います。
また、今回はエンジンの真横という特殊環境でしたので、機内の前部だとさらに静音化されるだろうと予想します。

3.CAさんの話し声:80%

Philippines Airlines CA

「お飲み物はいかがでしょうか?」というCAさんの声掛けです。
これも聞こえます。恐らく人の声は聞こえるような設定にしているのだろうと思います。安全上の観点からあえて消してないのでしょう。ですのでちゃんと聞こえます
ただ、音量自体はかなり絞られています。ノイズキャンセリングを効かせる前に比べて、クリアに聞こえるけれど声は小さくなっている、という感じです。

それとこれはノイキャンの機能とは関係ないのですが。
飲み物などを配る際にちょっと年配のCAさんが僕の方を見て、声は一切出さずにジェスチャーだけで「飲み物いりますか?」と聞いてきました。
恐らく僕がQC20を付けているのを見たからだと思います。外観で一発で分かりますから。この人はQC20を付けているからこちらの話す声はあまり聞こえないはずだ。そういう認識をCAさんが持つくらい、ノイズキャンセリングイヤホンとしてQC20が認知されているのだな、と。特別扱いされたみたいでちょっと嬉しかったです。笑

4.他の乗客の話し声:90%

Airbus A320

これが想定外でした。ノイズキャンセリングを効かせる前はエンジン音にかき消されて他の乗客の声はほとんど聞こえませんでした。
ところがノイキャンを効かせた瞬間、エンジン音が激的に減少したがために、それまでエンジン音でかき消されていた他の乗客の声が聞こえるようになりました。
もちろん大きな声では聞こえません。ささやき声レベルでかすかに聞こえるくらいです。ほぼ無視できる程度のものです。
ただ、もし自分の座席の周囲に大声で話す乗客やギャースカ騒ぐ子供がたくさんいると、けっこううっとうしいかもしれません。

5.ジプニーのエンジン音:100%

ジプニー

ここからはマニラ騒音地獄編です。
まずフィリピンのキング・オブ・ロード、ジプニーです。マフラーを改造して重低音+バリバリ音を響かせて走るジプニーが多く、その音がしょっちゅう聞こえていました。これは本当にうるさいです。

なのですが。

QC20のノイズキャンセリング機能をオンにした瞬間、パーフェクトに消えました。まったく聞こえなくなりました。ゼロです。
かすかに聞こえるとか、耳を澄ませば聞こえるとか、たまにスーパー大音響のジープが来ると聞こえるとか、そういうの一切なしです。完璧消音です。これは素直に感動しました。

6.車のクラクション:90%

マニラ市内の渋滞

ほぼ聞こえなくなります。トラックなどのものすごく大きなクラクション、特に甲高い高音のものがごくたまに聞こえる程度です。一般的なものはまったく聞こえません。

7.車の走行音:100%

マニラ市内のバス

バスやトラックなどの低音の走行音、低く響く系の音です。これもけっこうストレスの源でした。朝から晩までなんかしら低音が響いているわけですから。
が、こちらもすべてキレイサッパリ消えました。これっぽっちも聞こえなくなりました。パーフェクトに静寂です。

とにかく部屋の中に一日中騒音が響いているという生活環境なものでして。ジプニーやクラクション、大型バスの走行音。QC20のノイキャンをオンにしてそれら車関係の騒音がまったく聞こえなくなった瞬間は感動モノでした。涙が出かかりました。いや、冗談抜きで。

8.電車の走行音:90%

LRT

この音がとんでもなく大きいんです。戦車でも走ってきたんじゃないかと思うほどのガガガガガガ~ッ!という大音響。それまで聞こえていたテレビの音声がまったく聞こえなくなります。それくらい大きな音です。

この電車の走行音、QC20のノイズキャンセリング機能をオンにしてもゼロにはなりませんでした。低音系だからゼロになることを期待したのですが、まったく聞こえないという状態にはなりませんでした。

ただ、音量自体は激的に減少しました。電車が走っている音が小さく聞こえてくる、というレベルまで下がりました。耳を澄ますまでもなく聞こえるけれど、取り立ててうるさいというほどでもないというレベルです。また、走行音が聞こえる時間も短くなりました。せいぜい10秒くらいです。

ノイキャンを効かせなければテレビの音も聞こえなくなるほどなんですから、僕としては十二分に満足です。

8.コンクリートを削る音:90%

グラインダー

マンションの建設現場が発生させる騒音です。グラインダーというのでしょうか。円盤みたいなものでコンクリートを削ります。
これが甲高い音でとにかく耳障り。うちの近所の騒音の中でこれが一番嫌いです。キーン!という高音がとにかく耳障り。

で、こちらもゼロにはなりませんでした。ただし、ほぼゼロです。
ほとんどのキーン!は聞こえなくなります。ただ、ごくたまにものすごく大きなキーン!がさすがにパーフェクトには消せなくて聞こえます。
逆に言うとそれくらいです。従来比でほぼゼロなので僕の住環境としては激的に改善されました。

9.金属を切る音:90%

金属工作機

恐らく窓枠のサッシか何かを切断している音だと思います。上述のグラインダーと同様に甲高くて耳障りな音です。
こちらの結果は上述とまったく同じです。ほとんど聞こえなくなりました。ごくたまに消しきれなかった音が聞こえてきます。

10.アスファルトの掘削音:不明

はつり機

こういうのでアスファルトに穴を開けますよね。その時のガガガガッって音です。この音が好きなんて人はいないでしょうが。うちの近所ではしょっちゅうこの音が響いていました。

なんですが、どうしたことかQC20を購入してからまだ一度も近所でアスファルトの掘削が行われていません。ですので効果測定できていません。また後日報告します。

11.野外ライブ:不明

ライブ

これもまだ開催されていません。開催されたら報告します。(開催されないことを祈ってます!)

12.廊下の床のクリーニング:100%

フロアクリーナー

写真のようなクリーナーでマンションの廊下の床を週一ペースでみがいてくれます。ありがたいのですが、ウィンウィンウィン~という音が1時間ほど続くのでけっこう耳障りです。

マニラに戻ってきた翌々日に廊下の掃除が行われたのでさっそくQC20のノイズキャンセリング機能をオンにしてみたところ、ものの見事に消えました。まったく聞こえなくなりました。スゴイです。

が、クリーナーを操作する掃除係のお兄ちゃんの口笛はものすごくクリアに聞こえるようになりました。苦笑

12.隣のおばちゃんの声:不明

大声

どこの原住民か?と思わせるような品のないデカイ声でして、向こう三軒両隣どころか、マンションのフロアの端から端まで超クリアに響き渡る大声です。これが消えると非常に大きいのですが。

なぜか最近おばちゃんが静かです。まだ住んでるみたいですし、死んでもいないみたいです。ただ静かなんですよね。ということでこちらも効果測定できていません。このまま永遠にできないことを祈っています。

13.ホワイトノイズ:80%

ホワイトノイズ

サーという機械音です。録音していないカセットテープを再生した時に聞こえる音ってのが一番近い表現だと思うのですが、今の若い人はカセットテープとか知りませんよね。苦笑

このホワイトノイズはしっかり聞こえます。音自体は非常に小さいです。しかしサーッという音がしっかり聞こえます。気になる人には間違いなく気になるレベルです。

これについての評価は人によってかなり分かれると思います。音にものすごく敏感な人はものすごく気になるはずです。販売店で実機で試してもらうのが一番なのですが、もしかしたら購入を見合わせたほうが良いかもしれないです。

逆にそこまで敏感じゃないとか、今の騒音環境がそれどころじゃないという人ならば許容範囲だと思います。僕はホワイトノイズとかけっこう気になる方なのですが、今の周囲の騒音に比べれば音の「お」の字にもならないレベルなので楽勝でOKです。ノイキャンのスイッチをオンにした瞬間はホワイトノイズが気になりますが、5分もしないうちに気にならなくなります

最後に

BOSE QuietComfort20

いかがでしたでしょうか? QC20を使えばどんな音がどれくらい消えるのか、少しでも具体的にイメージしてもらえればなによりです。

実際に購入して使ってみた実体験ユーザーとしては、QC20は本当にすごいです。信じられないくらいに騒音がなくなります。朝から晩まで文字通り付けっぱなしにしています。これなしの生活なんてもう考えられません。それくらいすごいです。

もちろん、すでにかなりの静寂を手に入れているとか、騒音とは縁遠い住環境であるとか。そういう人がさらなる静寂を求めようとしてQC20を買うと、もしかしたら期待はずれになるかもしれません。
特にホワイトノイズはしっかりと聞こえますので、音楽は聞かずにQC20をノイズキャンセリング機能専用として使う場合、神経質な人だと逆にイラッと来るかもしれません。

ですが、僕のようにとんでもない騒音環境で暮らしている人がQC20を使うと、それらの騒音の大半がゼロになります。よほど注意して耳を澄ませたりしない限り、多少のイレギュラーを除いて騒音がゼロになるのです。なので僕にとってはQC20は絶対に手放せないパーフェクトなツールになりました。将来、今回購入したのが壊れてその時の販売価格が5万円に値上がりしていたとしても迷うことなく買います。それくらいスゴイです。

みなさんの現在の音環境を前提とした時、果たしてQC20はみなさんの期待に答えてくれるのか、よくご検討いただければと思います。
騒音環境でつらい日々を過ごしているという方には自信を持っておすすめします。これからフィリピンに来られる方にはマストアイテムです!


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