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東西経済回廊、15年全通へ:タイ・ミャンマーの最前線

記事の概要

ミャンマーのヤンゴンからタイ、ラオスを経由してベトナムの南シナ海沿いの都市ダナンとを結ぶ東西経済回廊が2015年春に全通する。このルートのボトルネックとなっていたミャンマーのティンガンニーニョとコーカレイ間の新ルートが2015年4月に完成する見込みだ。

全通するとタイからミャンマーへの陸上輸送は、現在3週間かかっている海上輸送より2週間程度短縮されるとの見込みで、日本通運は今年7月からバンコク-ヤンゴン間の陸路輸送サービスをスタートさせている。

元の記事を読む→ 【2013年12月25日:NNA ASIA

東西経済回廊ってなに?

経済が苦手なのでこういった記事は勉強になります。まず、東西経済回廊について。下の地図をご覧ください。

東西経済回廊

EWECと書かれているのが東西経済回廊(East-West Economic Corridor)です。ミャンマー、タイ、ラオス、ベトナムの4ヶ国を相互に結ぶとともに、インド洋と南シナ海を結びつける、東南アジアの一大経済ルートとして注目されているそうです。

元記事では2015年に全通と書かれていますが、実際には2006年にすでに全通しております。しかし、タイ国境からミャンマーに入ってしばらくのところに山脈があり、この山越えルートが東西経済回廊のボトルネックとなっています。

なんと道幅が狭くて対向車とのすれ違いができない、要は実質1車線ってことです。で、今はどうしているかというと、1日おきに上りと下りが交互運行しているそうです。今日は東行きだけ、明日は西行きだけ。こんなので東西経済回廊って、思わずツッコミを入れたくなります。笑(2012年、出典:タイ東西経済回廊と周辺開発の現状と課題:2012年、独立行政法人日本貿易振興機構海外調査部アジア大洋州課

この山越えの新ルートが2015年に開通するというのが今回の記事内容でして、2015年に東西経済回廊という名にふさわしい状態で全通するということでしょう。

とは言え、タイとミャンマーの国境にかかる橋は重い大型トラックが渡ることができず、橋の前で積み荷を中型トラックに載せ替え、重量を軽くして橋を渡り、後をついてきた中型トラックの荷物を橋の向こうでまた大型トラックに載せるという、あんたら暇やなぁ~、という作業が行われています。

上流数kmのところに重い大型トラックでも通行できる新しい橋を建設中で、これが開通する2016年が本当の意味での東西経済回廊の全通となるでしょう。

2015年にアセアン域内関税撤廃

日本通運が日本企業をターゲットにヤンゴン-バンコク間の輸送サービスを始めたとのことで、何のために?と思ったのですが。要は、タイやミャンマーといったそれぞれの国の中ではなく、メコン諸国全域でサプライチェーンを考えるということのようです。

例えば、ミャンマーは人件費が非常に安いですが、重層的な製造業の集積がまだできていません。例えば、ミシンをミャンマーに持ち込んで安い労働力を使って縫製業をしたい。でも、ファスナーを作れるメーカーが地元にない。アパレルのことが分からないので適当に書いてますが、要はそういうニュアンスです。

そこで、ファスナーとか手の込んだボタンとかは、それらを作れるタイから持ち込んで、最終の縫製作業だけを労働力が安いミャンマーでやる。はたまた、ミャンマーでもっと安く作れる半製品をタイに持ち込んで、タイで完成品にして日本に輸出するとか。そういうニーズが見込まれるということだと思います。

そこで鍵となるのが関税です。アセアンは域内関税の撤廃を目指しており、原加盟国のフィリピン、タイ、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、インドネシアの6カ国は一部例外品を除いて2010年に関税を撤廃済みです。残るベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーも2015年までに撤廃予定です。(2012年、出典:基本的なタイの輸出入制度:独立行政法人日本貿易振興機構

まさに東西経済回廊が暫定全通する2015年に、東西経済回廊にもろに関係するベトナム、ラオス、ミャンマーが域内関税を撤廃するということです。日本の製造業界で最近注目を集めるベトナムとミャンマー、これからも目が離せませんね。あ、ラオスもお忘れなく。笑